たとえば 朝の靄の中に たとえば さえずる鳥の声に しのつく雨のそのなかにも 風が耳をなでる時も あなたの影 あなたの声 あなたの髪 指 あの唇 思い出してる いつのまにか 今も私は あなたのもの たとえば うごめく人並みの中 たとえば 濡れてる花壇の柵 夜更けの街の 迷子の犬 死んだ手紙の 山の中に あなたの肩 あなたの腕 あなたの涙 あの微笑み 思い出してる いつのまにか 今も私は あなたのもの あなただけが 私のため たったひとり 泣いてくれた あなただけが 私のため 美しい詩を 書き続けた 葡萄の樹とワインよりも 盲いたものと その杖よりも 固い絆 だからいつか あなたは帰る この腕の中に