手探りで今日も泳いだ 砂が舞う海水で 目が痛むことはもうない また何かが落ちて 一部になったようだ いつ探しに来るのだろうか もういっそ迎えに行こう 継接ぎの両脚に力を込め 水底を蹴る 脆く崩れた 届いてくれ ここだよって 僕だよって 君だよって 忘れないでくれ 自分の半身を 棄てられ続けた瓦礫を 一つ残さず飲み込んで また 僕は唯々に君を待つモノノケ 手探りで今日も泳いだ 上澄みの水面を 誰にもぶつからないように また何かが落ちて 身軽になったようだ 僕の価値じゃないといいが 希望 理想 夢 甘いだけ 不平 不満 怖いだけ 沈めてきただけ あれ あとなんだっけ 認めてくれ ここならって 僕ならって 君ならって 忘れさせてくれ 自分の半身を 棄てられ続けた汚泥を 一つ残さず飲み込んだ 君を 僕は唯々に畏れているのだろう 僕はただ 醜さや脆さなど要らないと 棄ててきただけなのに 胸にもう何にもないんだ もういいか しわくちゃの外側も塵だろう 限界だ 探しに行こう ここだろって 僕だろって 君だろって 忘れかけていた 自分の半身を 棄てられ続けた僕等は 一つだったような気がして モノノケに言う 届いてくれ ここだろって 僕だろって 君だろって 忘れないでくれ 自分の半身を 空っぽになった僕ごと 一つ残さず飲み込んでくれ 醒めたなら 目を開けて 僕は唯々に僕なんだと言って モノノケ 両足を着いて気付いた 水深なんてたった 1mもないプールだ