鐘が鳴ると 誰かがやって来る 窓を開けると 地平になった時間 ドアを開くと 夜がいま誘い出す 足を踏み出すと 深い海の底にいる 夜が明けて 朝になるまでの一瞬 目を閉じて風を切る いつかの自分とすれ違う 渡る風になびく爪先 悲しみに触れた嘘 忘れてたはずの面影 街を背に長く伸びてゆく 息が上がると 誰かが駆けて来る 耳をすますと 散りぢりになった鼓動 目を開けて 振り返るまでの一瞬 首筋に触れている 他人の両手振りほどいて 寄せる波 抗う爪先 寂しさに滲む嘘 消してあったはずの思い出 夕日を背に長く伸びてゆく 夜が明けて 陽が昇るまでの一瞬 目を開けて風を切る いつかの自分追い越して 渡る風になびく爪先 悲しみに触れた嘘 忘れてたはずの面影 抱えたまま長く遠く往く