白い干潟の先の 広い港の向こうに 冷たい夜の街 行き交う人の波 波 西のたもとを渡る 寄る辺のない足元に 見知らぬ船がゆく 花売りの娘を追う 花向けを読み投げた 風が運ぶまま 花びら拾う誰か 海の向こう側 顔も知らぬまま 声も聞かぬまま 触れもしないまま 眩く光る街の 煙とガスの中に 踏み出す朝の道 積まれた夜の雪 土 花をただ寄せ合えば 歌が運ぶから 葉をちぎり見せ合えば 花は枯れぬまま 花向けを読み合えば 風が運ぶから 花びら拾う誰か 海の向こう側 壁の向こう側 この街の誰か そこにいるあなた