Track by牧野容也
群れをはぐれた 羊が歩く 泥にまみれた 足音軽やか 伸びる草木が 枯れる頃には 蹄の跡は 遠いところ 失くした地図を見つけられない 埃かぶって 鍵はかけたまま 行ってきた道と 戻ってくる場所 西日の影が 伸びる前においで 明かりを消した 窓からのぞく 街の灯りは いかにも華やか 耳を塞いで 聞こえてくるもの 望む景色は まぶたの裏 忘れた歌を 思い出せない 手帳の隅で 絡まったことば 描き出す指と 語るくちびる 手のなる方へ 駆け出しておいで