車道側を譲らないでよ あたしはどんどんこの街の左側に 詳しくなっていくのです 右頬の黒子にも気づけないまま ベランダで前髪を切った 近所の工事はまだ終わらない 動物みたいなクレーンに ふっと笑って 朝になれば 回送電車も動いて 化石になった街の氷を 朝の光が溶かす 当たり前の 意味を帰り際に辞書で引いてね 屋上があればどこでもいいよ 眠れない夜が僕等にあるの 2人で夜に謝れば きっと許してくれるさ さよならで本文が終わる 小説はこの世に何個ある? 努力の数と報われた数はなんか 合わない 色とりどりのノートが入った ゴミ袋が捨てられているのは 今日もどこかの誰かの恋が 終わった証さ 夜になれば 嫌いなあいつも眠って 羊を数えても何度もあなたの姿が 迷い込む 当たり前の意味は 一人一人なんだか違う 化石になった街の氷を 朝の光が溶かす