置き去りにした傘は 使われないままずっと 何より綺麗で 何より優しくて 誰の目にも止まらずに 降り続く雨の音 ひとつひとつ重なり 遠ざかる声に 近づく時間の 独りきりこの場所で佇む さよならの意味を 知らずに手を振った 暮れる空の眩しさに消えてゆく きっとどこかで また出逢えるから この雨が止む頃には 瑠璃色の世界が広がる 日常の騒がしさに 忘れゆく空の青 揺蕩う季節に 雨は降り続く くもった窓になぞる文字 隠した さよならの意味を 今更わかっても 淡く染まる雨の空見上げてた 透明に伸びる 一筋の光 移り行く琥珀色に 雲が晴れて さよならと伝えた 君は手を振って 暮れる空の眩しさに消えてゆく きっとどこかで また出逢えるから 置き去りにしたこの傘を 届けたいそっと 雨が晴れたこの空に 瑠璃色の世界が広がる 遠くずっとずっと 雨粒に映った 涙を流す顔に 傘を差す僕はいない