広場を見下ろす彫刻の 足元で君が待っている 麻織りのワンピースに 木漏れ日は散らばって イタリアの映画のシナリオの 迷路の奥で立ちすくみ 肩越しにふたりを満たしていた 君のコロンは海の香り 夏に覚えた君の名は 秋を待たずに消えていく 季節を越えられない蝉のよう 君は空へと溶けていった 通りに面した食堂の テーブルで君ははにかんだ 冷めかけのスパゲティに 枝豆は転がって ブラジル音楽のメロディと シーツの音のシンフォニー 壁紙にイルカが泳いでいた 部屋の空気は秋の気配 星に願った君の名は 朝を待たずに消えていく 始発が街を訪れるまえに 君は夜へと溶けていった 夏に覚えた君の名は 秋を待たずに消えていく 季節を越えられない蝉のよう 君は空へと溶けていった