深い海 足が底についたような夢を 見ていたんだ 目を擦っておとぎ話を 聞き流す中央線 明日で世界は おしまいだってさ ぬるい風 ひとり 飲み込んだ夜は 砂のようで 声になってしまう前に丸めた散文の 床に転がるのを見ている どうせならひとに 言えないようなのがいいよ きみの理由になりたい 片手くらいの幸せを 挟んで手を繋ごう ただそれだけでいいから そばにいさせてくれませんか 薄い夜 ひとり 東京の空は 少し遠くて 聞きかじった星の名前が嫌でも 鮮明なまま まだ きみへの言葉が底をついた いつか来るのはわかってたんだ 思い出してしまう前に なにもなかったことにしよう それじゃ足りないかな 火傷した口がまだ痛むのだ きみの平熱がほしい 持ちきれないような悲しさも ひとりで背負えるさ ただ今だけでいいから 目を閉じていてくれませんか 空に架かった飛行機雲が 滲んで溶けるように ただそれだけでよかった すべて忘れてくれませんか 深い海 空にたどりついたような夢を 見ていたんだ 目眩のようなおとぎ話と 焼け付いた扁桃腺 昨日で世界はおしまいだってさ