一人 空を見上げ 時の終わりを知る 意味なく聳える都市 何を厭えず 痛いと呼ぶ声に 焼き付く 避雷針 轟く性の闇を背に 殴り合う二人 只中に燃え盛る 彼岸花の匂い ひとりでに出る恋 これは 夏影 辺りは闇 夜の宴 この広い地球の 裏の アルデバラン 昨日見た夢は醒め 黄昏を愛づ 僕を笑う声を どこに閉じ込めたの 今際の時 光を遮り 歌う二人 只中に萌え出る 水仙翁の蕾 只管求める声 これは夏影 浮世は闇 夜は静か 錆び付いた時 揺れる瞳に 空を仰いだ 街角の朝 鮮やかに 目を穿つ 暁闇の星明かり 眠れずにただ踊る 夏の夜の奴隷 戯れに 頬染める 毒卯木の匂い 甚だ潤んだ声 これは 夏影 朝陽を断ち 終わる 仄暗い世界の 隅に惑う独り 地平撫でる 日溜まり 朝焼けを目に 立ち止まる私と 変わらぬ信号機 夢想の果て 思い返す 宵闇の凝