何億通り、 他意のない文字に迷っている。 シルエットで分かる。 「ねえ、誰が踊るドレス?」 私以外。 正しい和音を頼りに禁じられた 遊歩道を引き返しても、空回り。 失われつつある孤独と 親密の自己愛をまだ、 失くさないでね。 予測と 回帰にあくびしている間に 誘惑された長いまつ毛は、 偶然街で見かけたけどもう言葉は 交わさない、海辺のカフカ。 試行錯誤の過程を蛍光 ランプの下にまだまだまだ 隠していて。 育まれつつある科学と 哲学の自己愛をまだ、 決めないでね。 誰が待つとも 分からないくらいに 暗い廊下がまだまだまだ 続いていて、 失われつつある孤独と 親密の自己愛をまだ、やめないで。 無表情に過ぎてゆく時の水面に 触れ、慈しんだり憎んだりして、 飲み込まれつつある情動と 均衡していく自己愛を、 失くさないでね。